[講座3] 写真をもっと学びたい人が読むべき本 (野澤 勝)

スーザン・ソンタグ「写真論」1979年 晶文社

見ることの倫理に力点を置いた写真書。初版から三十年以上経つが今も書店に並んでいる名著で、写真を学問として学びたい人やプロカメラマンを目指す人は必ず読むことを勧める。ただ、凡人の私には理解できない部分もあった。写真とは見ることの文法(方法論)を理解することであると自分は学校で教わったが、本書では「写真はカメラで捉えた対象を、ある距離関係で見ることによって現代社会の矛盾や問題点として受け取り、そこから見ることの倫理を導き出そうとしている。従って一般的な写真解説書とは異なり、テレビの野球中継を観ながら読むような本ではない。

富岡多恵子「写真の時代」1979年 毎日新聞社

くしくもソンタグの写真論と同じ年に発刊された写真書で、月刊誌「カメラ毎日」に約2年間連載されたカメラ時評をまとめたもの。内容は月例コンテスト写真、なぜ画題をつけるのか、カメラの高級化、絵のような写真、怖い写真など、身近なテーマが選ばれており読み易い。

今橋映子「フォト・リテラシー」2008年 中央公論新社

報道写真をテーマに論評している点ではソンタグの写真論と同じだが、読み比べると西洋と東洋の思想の違いが感じられ面白かった。それと本書を読む前に名取洋之助著「写真の読みかた」1963年・岩波新書を読んでおくと理解度が深まると思う。